月を歩く。

月面を歩くように、ふわふわと。偏り具合が気持ち悪いですよ。

滝本晃司「下北水中ライブ Vol.106」(@下北沢lete/2013.04.27)

3か月ぶりの下北沢lete。

どれだけこの日を心待ちにしていたことでしょう。
予約が始まった日から、たった2週間。だけどこの2週間は長かった……。
滝本晃司さんの下北水中ライブVol.106。
毎月恒例のこのライブですが、滝本さんの体調不良のため、2月と3月はお休みでした。 入院されていたとこのとですが、情報が一切流れて来ません。逆に漏れてきたら、尾ひれがついてたいへんだったかもしれませんので、その徹底ぶりに感謝。
3月に入って公式HPに「退院しました」の文字が出た時は、狂喜乱舞したものです(踊るなw)。 予約完了した時も、喜んで飛び上がって足をぐねったり。いい加減落ち着きなさいね、私。
この日がGWの初日だということも頭に入らない状態で、当日を迎えました。

まずはセトリから参りましょう。 憶えられないかも!とか言ってましたが、一曲一曲を噛みしめるように聴いていたら憶えてしまいました。 まだ表記が不明な曲タイトルには※がついています。


01. ワルツおぼえて
02. 日本でよかった
03. 夏の前日
04. むし
05. また雨のうた
06. かげのなか※
07. まばたき
08. 空の下(ウクレレ
 
~休憩~
 
09. 朧月夜とその続き(ウクレレ
10. 青空(ウクレレ
11. 柿の木(ウクレレ
12. 星を食べる
13. とかげ
14. グッドバイ
15. つづくことつづくとこ
16. そらいろ※
 
~アンコール~
17. ポコポコ
 
並んでいる時に少しだけリハの曲が聞えてくるんですが、『日本でよかった』が流れてきたんです。 ドアや窓が開いているか否かで違ってきますが、この日の夕方は少し肌寒くて、窓は閉まっていたと思うのです。 それなのに、クリアに声が届いてきてびっくり。 声、めちゃくちゃ好調! それに感動していると、今度は『夏の前日』。好きな曲なもんで、早くも鼻の奥がツーンときました(^^;)。
3か月ぶりとはいえ、意外とご本人は気負っていないかも。そしたら感動したからって泣いたら、おかしいよね。私は絶対泣かないようにしよう……と決心。(アホみたいに涙腺弱いのですよ、ホント)
 
「あ、こんばんは。滝本晃司です」
おひげや髪型は変わらず。白いシャツに黒いカーディガン、そしていつものジーンズ。 少し痩せられたでしょうか。緊張、かつ少し恥ずかしそうな顔をした滝本さん。
復帰一曲目は、『ワルツおぼえて』でした。 もちろん練習はされていたのでしょうが、このブランクがまるで無かったかのよう。 声の伸び、低音の響き、すべてが変わらない……というか前以上に聞えます。 タバコをやめたのだそうです。 昨年末からやめていたらしいのですが、入院でスッパリやめることができたとのこと。 最初の方こそ少し声のガラつきがありましたが、あんなになめらかな歌声はだからなのかな。納得。
 
入院生活のあれこれを、ポツリポツリとお話ししてくださいました。
大部屋での入院で、おじさんにもおしゃべりが好きな人がいるんだねーというお話や、後半は退屈で退屈で仕方なかったこと。弟さんが小説などの本をいくつか持ってきてくれて、それがいつも自分が読まないジャンルだったりしたけど、予想外におもしろかったとこのこと。すぐ読み終わっちゃうと楽しみが無くなってしまうから、少しずつ読んでは、勢いづきそうになったら他の本に移行して……という読み方をしていたそうです。
テレビは「モヤモヤさまぁ~ず」がおもしろかったとのこと。「さまぁ~ず、いいね^^」
あとウクレレ口琴を持ってきてもらって、病院内にある患者さん向けの遊歩道に誰もいないのを確認してから弾いて遊んだり……これ、想像したらすっごく和みました(*´ ω `*)
 
1月、下北水中ライブの直後のさるフェスをお休みして、一週間後に京都・滋賀・名古屋と回り、帰京後すぐに入院されたそうです。 入院期間が最初は2週間の予定だったのが、いつの間にやらひと月半。 さぞ不安だったろうなと思うのです。
実はこの日もまだ本調子ではなかったそうですが、ここはやりたかったと滝本さん。
演奏している姿も、すっごく楽しそう。ギターやウクレレを見つめる姿。伸びる歌声。『とかげ』の激しさも、本調子ではないという事実を忘れさせてくれるほど。まるで水の中で自由に泳ぎ回る魚といった感じ。 ミュージシャン自身が楽しんでいるステージ。
こんなライブを観たくて、自分が足を運んでいることを、私は再認識しました。
まだ次のライブ予定を入れられる状態では無いそうですが、ゆっくりでいいから全快に向けて養生していただきたいです。
 
アルバムも進み始めているそうですよ。
すでに斉藤哲也さんに連絡を取って、打ち合わせ開始したとか。 ものすごく楽しみ!
ところで一番「らしい」と思ったのは(私の勝手な思惑ですがっ)、結局 何の病気で入院になったのかを、おっしゃらなかったという点です。 気にはならないと言えばウソになりますが、それでいいんですよね。きっと。(一瞬言いかけて、やっぱいいやみたいな感じで)
 
頭の中の諸々をツイートでだだ漏れさせながらなんとか自宅に帰り着き(あれは当時の相互フォロワーの皆さんには迷惑だったろうなー)、それからカレンダーのイラストをじっくり見ていたら、一気にこみ上げるものがありました。 フレームの中に、ギターをギュッと抱きしめたカエルさんがいる。その奥にもフレームがあって、中にはギターを抱きしめているカエルさん。そしてその奥にもまた続いている――。
滝本さんがこの下北水中ライブをどれだけ大事にしているのかがわかりました。
この人は、どれだけライブをやりたかったんだろう。
どれだけ下北水中ライブを楽しみにしていたんだろう。
それを考えたらもうたまりませんでした。
 
leteの中にいたみなさんが、いつもよりもニコニコしていた時間。
忘れられない、やさしい夜になりました。